【トヨタ・ソニーが人気】メーカーへの異業種転職で苦労する点を解説します
メーカーとは、モノを生産する企業のことで製造業とも呼ばれます。
ひと括りにメーカーといっても、自動車、電化製品、食品、アパレル、医療機器にいたるまで、多くの種類があります。製造業は日本の主要産業のひとつなので、人気のある業種であることから、転職を希望する人も多いのではないでしょうか。
人手不足が深刻な分野でもあることから転職は容易かと思われがちですが、何も対策をしないと転職に失敗する恐れがあります。
少しでも転職の成功率を上げるためにも、今回の記事ではメーカーへの転職難易度や転職の際に苦労する点、人気のメーカー転職先などをご紹介します。
メーカーへの転職は難しい?
メーカーへの転職難易度は「やや難しい」です。
そもそもメーカーの規模によって転職の難易度は異なりますが、大手メーカーの方が難易度は高く専門性を要さない中小メーカーの場合は難易度が下がる傾向にあります。
大手メーカーの方が求人倍率が高いので、ライバルが多い分だけ難易度も上がるからです。
大手転職エージェント「doda(デューダ)」が行った調査によると、2021年7月のメーカーの求人倍率は1.82倍でした。全体の2.15倍を下回ってはいるものの、3番目に高い水準であることがわかります。
※doda:転職求人倍率レポート(2021年7月)から筆者が作成
つまり、全業種から見るとメーカーへの転職は人気が高いといえます。メーカーの求人倍率は前月比で0.26pt、前年比で0.66pt上昇しています。
全体の平均倍率を引き上げているのは「IT・通信」であり、他の業種と比べて群を抜いていることがわかります。新型コロナの影響が続いていることから、高い求人倍率が維持されているものと推測されます。
以上の理由からメーカーへの転職難易度はやや高く、今後も難易度の高さは少しずつ上がっていくものと思われます。
第2新卒の場合
第2新卒の難易度は、「難しい」のが現状です。
大きな理由は新型コロナウイルスの影響です。
20代若手に特化した人材紹介事業を運営する「UZUZ」は、既卒者と第2新卒者を対象としたアンケート調査を行いました。調査の結果、「新型コロナウイルスの影響を感じることがありますが?」と回答した人は50%で、「選考の難易度が上がっているように感じる」と回答した人は29.2%と最多でした。
経済の落ち込みにより、応募できる求人の案件が減少したことが大きく関係しています。
また、調査期間中は緊急事態宣言の延長やコロナウイルス感染症まん延防止措置などがあったことから、転職が厳しい状況の渦中にあったことも要因のひとつです。
一方で、コロナ渦が継続していることで「リモートワークができる会社に就職したい」「WEB面接を採用する会社が増えたことで転職活動がしやすくなった」という意見もあり、1年前と比べると「転職活動の意欲が上がった」という人も増えているようです。
未経験でメーカーへ転職すると何が苦労するの?
未経験でメーカーへ転職して苦労しがちな点を、以下にまとめました。
- 転勤が発生する可能性も高い
- 自分の個性を活かすことが難しい
- 定年まで安泰とはいえない
- 夜勤などの不規則なシフトもある
- 残業や休日出勤がある
- 体に悪影響を及ぼす製品の取り扱いも
- 勉強の継続が求められることもある
上から順番に詳しく説明していきます。
苦労する点①:転勤が発生する可能性も高い
大手メーカーの多くは、国内や海外に多くの拠点があるからです。
営業や物流といった効率の向上や人件費を抑えるためであり、一時的に現地で住んで労働したり指導をしたりすることを求められることもあります。
転勤の頻度は会社や個人で異なりますが、多い人は2~3年に1回ほど転勤があります。
一人暮らしであっても見知らぬ土地で暮らすのは大変ですし、家庭を持っている場合は単身赴任や引っ越しが必要になってしまいます。
未経験でメーカー勤務になると、転勤の多さに苦労するでしょう。
苦労する点②:自分の個性を活かすことが難しい
規模の大きなメーカーは、従業員の数も多いからです。グループで数えると、従業員が何万人というメーカーも存在するほどです。
そういった企業は組織体制が整っているため、あくまで歯車の一部として労働するような形になります。同僚だけでなく上司も数多く存在することから、自分の思い通りに仕事を進めることは難しく意見も通りにくいのです。
ほかにも、創業時からの経営理念や製品の技術やコンセプトに縛られて、自分が望むような製品を作ることはできません。周囲と協力して同じペースでプロジェクトを進める必要があるので、他部署との連携も求められます。
以上のような理由から、自分の個性を活かした仕事をするのは不可能に近いといえます。
苦労する点③:定年まで安泰とはいえない
大手とはいっても、定年まで安泰とはいえません。
近年の製造業は、新興国企業のメーカーの台頭や低価格商品の誕生といったグローバル競争が激化しているからです。また少子高齢化によって国内市場の規模が縮小しているうえに、生産性の向上も進んでいないことも原因といえるでしょう。
以前は「終身雇用制度」が当たり前でしたが、数十年後に生き残れるのかわからない現在では終身雇用を継続するのが難しいのです。
製造業に限った話ではありませんが、製造業は特に厳しい環境にあることを踏まえたうえで転職を検討しましょう。
苦労する点④:夜勤などの不規則なシフトもある
メーカー勤務でも企業によっては、シフト制を採用している場合もあります。シフト制は夜勤もあるので、生活が不規則になりがちです。
特に工場へ出向した場合は、2交代制や3交代制のシフトで勤務することが多いので、生活のリズムは乱れてしまいます。深夜帯の労働は深夜手当が付きますが、大きく収入が増えることはないでしょう。
未経験であれば、不規則なシフトに慣れるまで苦労する可能性もあります。
苦労する点⑤:残業や休日出勤がある
会社によっては定時で退社できることもありますが、メーカー勤務の場合は残業や休日出勤も珍しくありません。
働き方改革が進んでいるとはいっても、古い社風が根強く残っている会社や生産性の上がらない会社も多く残っているのが現状だからです。特にメーカーは熾烈な競争の渦中にあるため、残業や休日出勤を求められる可能性もあります。
こちらもメーカーに限った話ではないのですが、転職前の会社が時間厳守で残業や休日出勤がない場合には苦労することも多いでしょう。
苦労する点⑥:体に悪影響を及ぼす製品の取り扱いも
勤務するメーカーによっては、体に悪影響を及ぼす製品を取り扱う場合もあります。
ひと括りにメーカーといっても、製薬会社など薬品を取り扱う会社や製造にガスを排出するような会社も存在するからです。
危険と隣り合わせの仕事は精神的にもストレスがかかるので、慣れない環境に苦痛を感じることもあるかもしれません。
苦労する点⑥:勉強の継続を求められることもある
メーカー勤務の場合は、技術職や開発職などは必要な分野の勉強が不可欠です。
他社では活かすことが難しい専門性の高い資料に目を通して、理解したうえで製品へフィードバックすることを検証しなければならないからです。
勉強が求められるのに学んだ内容が採用されるとも限らないので、苦痛に感じる人も多いようです。
人気の転職先を紹介
大手転職エージェントサービス「doda(デューダ)」が調査した、人気の就職先のランキングです。
- トヨタ自動車
- グーグル
- ソニー
- 楽天
- アマゾンジャパン
引用:「doda」が2021年に実施したアンケート調査の結果
メーカーはトヨタとソニーの2社がランクインしています。人気の理由については、下記から説明していきます。
1位:トヨタ自動車
- 改善でムダがない
- コロナ渦でも過去最高の利益を出せる企業戦略を知りたい
- 世界的に有名な大企業で環境もいいから
2位:グーグル
- 社員や働き方を大切にする企業というイメージがあるから
- 革新的IT企業なので意思決定のスピード感を体感したい
3位:ソニー
- 伝統的なメーカーだが多彩な事業展開で業績も好調だから
- 自由な社風の中で、自由なことを研究してみたい
4位:楽天
- 勢いのある会社で、グローバルに活躍できそうだから
- 社内施設が充実している
- 今の時代に合ったサービスを展開しているから
5位:アマゾンジャパン
- 将来性を期待できる企業だから
- 数々の生活イノベーションを提供する大企業だから
メーカーへ転職する理由・志望動機として多いのは?
以下は、20代男女の主な転職の理由や退職動機です。
- 待遇・労働環境への不満
- 人間関係
- 仕事が合わない/望んだ仕事ではない
- スキルアップ/新しい仕事への挑戦
- 解雇/倒産/業績悪化
引用:株式会社ビズヒッツによる2020年11月のアンケート結果
企業側としては自社の悪い部分をアピールすることは少ないので、仕事の量や人間関係などは入社してからでないとわからないのが現状です。そのため、職場の見学や転職エージェント経由での情報収集、口コミを確認するなど事前に調査を行っておきましょう。
転職理由の詳細については、下記から説明していきます。
転職理由①:待遇・労働環境への不満
転職の理由として最も多かったのが、「待遇や労働環境への不満」です。
具体的には、以下のような不満があります。
- 給料が少ない
- 残業が多い
- 休日が少ない
特に多かったのが、仕事量や残業に関するものです。
1日の生活の中で仕事が占める割合が大きいため、プライベートな時間が少なかったり疲労を感じたりすることが多いようです。
より待遇・労働環境の良い職場を求める求職者も多いといえます。
転職理由②:人間関係
次に多かった理由が、人間関係です。
特に上司と良好な関係を築くのが難しく、転職を決めるきっかけにつながることも珍しくありません。たとえば、「大声で怒鳴られる」「上司が怖い」「パワハラやモラハラを受けた」といった経験や、一部の女性は「セクハラがあった」などの理由もあるようです。
人間関係をリセットする意味で、新しい職場を希望する人も少なくありません。
転職理由③:仕事が合わない/望んだ仕事ではない
「仕事が合わなかった」という理由も多いです。
希望していない部署に配属されてしまうなど、やりたい仕事ができないこともあります。やりたい仕事ができないと、やりがいを感じることは難しいでしょう。
自分が好きな仕事をするためには、新しい会社に入るしか方法がないのかもしれません。
転職理由④:スキルアップ/新しい仕事への挑戦
20代後半の方に多かったのが、スキルアップ/新しい仕事への挑戦という理由でした。
入社から年月が経ったことで一通りの業務をこなせるほど経験を積めたため、心機一転して新しい仕事に就いて視野を広げたり夢を叶えたりすることが目標のようです。
ほかにも、結婚や出産といったライフスタイルの変化も動機のひとつになります。
転職理由⑤:解雇/倒産/業績悪化
解雇や倒産、業績悪化といった会社の事情も、転職理由として挙がっています。
最近では新型コロナウイルスの影響により業績が悪化する業種も多く、人員削減や会社の倒産などを経験することもあるでしょう。
転職活動を余儀なくされてしまうケースもあるようです。
まとめ
今回の記事ではメーカーへの転職難易度や転職の際に苦労する点、人気のメーカー転職先などをご紹介しました。
以下に、ご紹介した内容をまとめました。
- メーカーへの転職は「やや難しい」(規模や専門性による)
- 転職難易度は、今後も高い状態で推移する可能性が高い
- 新型コロナの影響で、第二新卒の難易度も高い
- 未経験からの転職では苦労する点も多い
- 人気のメーカー勤務先は、トヨタ、グーグル、ソニーの順番
- 転職理由で多いのは、待遇や人間関係、仕事内容など
メーカーといっても多様な業種があるので、自分の好きな分野に転職することをおすすめします。ただし、メーカー特有の勤務形態や異動などもあり得るので、転職エージェントなどを利用して転職希望先の情報を事前に調査しておきましょう。
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