【実例あり】製造業の転職における失敗ケースと2つの理由
製造業といえば、リストラなどのイメージが強いことも事実です。
一方で、近年では5GやAI化、IoTの普及が著しいうえに、人手不足に悩まされている業種でもあります。特に好調なのは半導体や自動車などであり、近年で採用ニーズは高まっているのが現状です。
売り手が優先といわれる「転職市場」においては、過去の製造の経験を活かしてキャリアアップを図るのも最適のタイミングといえるでしょう。
しかし、安易な考えでは理想との違いに悩まされるなど、転職に失敗してしまう可能性もあります。
そこで今回の記事では、製造業の転職先の選び方や選考ステップ毎の確認点、転職の失敗事例などもご紹介します。
製造業へ転職する人はどれぐらいいる?
厚生労働省「令和2年上半期雇用動向調査結果の概況」によると、「製造業」の転職入者数は約22.3万人でした。令和元年上半期の製造業への転職入職者数は約30.7万人であったので、1年間で8万人以上も減少していることがわかります。
転職入職者全体は約269万人であり、製造業への入職率は2.7%です。
ほかの産業と比較すると「金融業・保険業」(2.5%)に次いで入職率が低く、「複合サービス事業」(2.8%)「電気・ガス・熱供給・水道業」(3.7%)などが製造業に続きます。
以上の結果から、製造業への転職希望者は産業全体で見ると少ないことがわかります。
製造業が選ばれる理由
最も多いのは、「シフトや休みが比較的希望通りになる」(53.6%)という理由でした。
次いで「勤務内容の内容が適当である」(48.0%)、「個人作業で業務を進められる」(44.8%)、「給与が仕事内容の割に充分である」(44.0%)「職場環境が整っている」(41.6%)などがあります。
※ディップ総合研究所調べ
また、製造業は継続意向は高い傾向にあります。
同じくディップ総合研究所のアンケート結果では、就業者全体では「継続したい」(31.1%)と「どちらかというと継続したい」(23.8%)が過半数でした。
ただし、就業期間が「3ヶ月未満」の人は「継続したい」(28.0%)「どちらかというと継続したい」(16.0%)の合計44.0%であり、ほかの就業期間のグループと比べて低い水準でした。
※ディップ総合研究所調べ
製造業の転職者は減少傾向にありますが、「継続したい就業者は多く、経験の浅い就業者は継続意思がやや低い」といえます。
製造業へ転職する際に失敗するケースを解説
独自の環境や条件を知らずに、転職に失敗するケースがほとんどです。
製造業への転職前に知っておきたい知識は、以下のとおりです。
- シフトが不規則
- 残業や休日出勤がある
- 少しのミスが大きな損害へつながることも…
- 現場によっては身体に害のあるものを取り扱う
- 体育会系の風潮が残る現場もある
上から順番にみていきましょう。
ケース①:シフトが不規則
一部の製造現場は、24時間体制で稼働しています。
従業員は夜勤を含むシフト制の勤務形態を守る必要があるので、生活が不規則になってしまいます。2交代制、3交代制といったシフトで勤務することが多いので、生活のリズムは狂いやすく体調管理は困難です。
深夜の時間帯は深夜手当が付きますが、5時間ほどしか含まれません。夜勤手当のほかに「交代制手当」などが付く会社であれば別ですが、ほとんどの会社では深夜手当だけなので、大幅な収入のアップは期待できないでしょう。
不規則なシフトに慣れず、転職に失敗する可能性もあります。
ケース②:残業や休日出勤がある
定時に退社できる現場も多いですが、残業や休日出勤が求められる場合もあります。
残業や休日出勤が必要な理由は、人手不足です。
製造系企業の多くは少子高齢化の影響だけでなく、バブル期以降の新規雇用を見送っていたために中間層が少なく、後継者の育成もできていません。外国人技能実習生の受け入れも手続きが複雑で、労働できる期間は限定されています。
実際、経済産業省の調査では、就業者全体の数は増えているのに製造業の就業者は年々減少していることがわかっています。
転職したい企業に残業や休日出勤があるのか、事前にリサーチしておきましょう。
ケース③:少しのミスが大きな損害へつながることも…
製造業では、どの工程であっても任された仕事を正確に行わないと、大きな損害へとつながります。少しのミスが大きな損害へと発展することで、周りの人に迷惑をかけてしまうのです。
ミスの度合いによりますが、安全の範囲内に収まることから問題が表面化しない可能性もあります。しかし、現状は問題なくてもミスを放置したことで、大きな損害へと発展してしまうケースも珍しくありません。
- 工場での組立に支障が出る
- 使用者がケガをする
- 設計変更や出荷停止、現品の回収を行う
上記のような損害が起こる場合は、プレッシャーや対応は大きなストレスとなるでしょう。
自分のミスで会社や他の作業員へ迷惑をかけることが嫌になって、辞めてしまう場合もあります。
ケース④:現場によっては身体に害のあるものを取り扱う
薬品やガスなどを扱う会社なら、身体に害のあるものもあります。
操作を間違えると人体に害を及ぼしてしまう可能性もあるなど、常に危険のリスクが潜んでいる現場で働くのは精神的に大きなストレスがかかります。
製品の開発や生産ラインでも危険と察知できるように注意し続ける必要があることから、辞めてしまう場合もあるでしょう。
転職の際は、事前に仕事内容なども把握しておくことが大切です。
ケース⑤:体育会系の風潮が残る現場もある
製造業に限定された話ではありませんが、体育会系の風潮のある現場もあります。
「働き方改革」などにより改善されている現場も多いですが、未だに何も変化していない会社も残されています。「先輩には逆らえない」「飲み会などの付き合いが多い」「募集時の内容とは大きく異なる」など枚挙にいとまがありません。
「慣れ」によって心地よく感じる人もいますが、体育会系の風潮が合わずに辞めてしまうケースもあります。可能であれば、口コミの確認や現場の下見などを行っておきましょう。
実際に転職を失敗した人の理由とは?
実際に転職を失敗した人の理由は、以下のとおりです。
- 理由①:面接官から伝えられたメリットを鵜呑みにした
- 理由②:伝えられた条件と違う
口コミとともに、それぞれの事例を見ていきましょう。
理由①:面接官から伝えられたメリットを鵜呑みにした
以下は、理由①の事例です。
ここだけの話…
— きき@元保育士 (@hoikushi_life) September 5, 2021
私は転職で失敗をしたくないので3つの転職サイトを併用します。3つの理由があり
1.求人を比較できる
2.自分に合う担当者に出会える
3.正しい情報が仕入れられる
特に大事なことは転職の情報。担当者は自分にメリットがあることしか言わないので正しい情報を精査することも大事😌
面接官が自社のデメリットを伝えることはないと考えた方がいいでしょう。転職者側も「理想の企業に転職したい」ことが目的であるように、また企業側も「いい人材がほしい」という目的があるからです。
つまり、面接官の言うことばかりを鵜吞みにせず、口コミなど企業の情報を自分でリサーチすることも重要です。
理由②:伝えられた条件と違う
次は、理由②の事例です。
来月の勤務また夜勤ばっかだし(夜専で入職した覚えはない)、転職ガチャは完全に失敗です pic.twitter.com/bwuhDeGs0N
— 肩幅サンメートル (@ranranran__ran) August 28, 2021
夜勤専門で転職したわけでもないのに、シフト表のほとんどが夜勤という事例です。
転職する際に面接官に「夜勤で働いてほしい」と伝えられていなくても、夜勤として働かなければならないようなケースもあるでしょう。製造業も夜勤のある仕事が多いので、夜勤の仕事を避けるのであれば、夜勤のある会社を避けるか面接時に夜勤はできない旨を伝えるしかありません。
製造業への転職で失敗しないための方法
製造業への転職で失敗しないための方法を5つご紹介します。
- 転職の必要性を考える
- 客観的に自己分析をする
- 応募する企業の調査を怠らない
- ゴールまでの道筋を明確にする
- 自身の市場価値を意識する
上から順番に説明していきます。
方法①:転職の必要性を考える
転職の必要性を考えるのは、今後同じことを繰り返さないようにするためです。
現在の職場への不満は「本当に現状では解決できないのか」「転職によって解消されるものなのか」を、改めて考えてみるべきです。転職によって解消されないのであれば、転職したとしても再び辞めたくなってしまうでしょう。
たとえば、仕事に不満がなくても人間関係に不満があるなら、転職で解決できることもあるかもしれません。しかし、転職先にも同じように合わない人がいたら、解決することは難しいといえます。給与などの待遇も同じで、転職先で大幅にアップする可能性があるとは限りません。
単に現状から抜け出すだけの転職ではなく、将来を見据えた転職先を決めることが重要です。
方法②:客観的に自己分析をする
転職活動において、客観的な自己分析が重要だからです。
「自分のスキルは、関心のある業界や企業に対して求められるのか」「自分の強みは、転職先でどのように活かせるのか」などを客観的に分析する必要があります。
履歴書や面接で求められるような自己PRをするためにも、職歴や経験したこと、スキルや志望動機、働くうえで重視することなどを整理しておきましょう。また、分析することで今までは気づかなかった自分の側面を知って、転職先の範囲が広がる可能性もあります。
方法③:応募する企業の調査を怠らない
上記の失敗例を避けるためにも、応募する企業の調査はしっかりと行いましょう。
特に転職の理由ともいえる現在の仕事の不満に相当する箇所だけでも、最低限リサーチしておくことをおすすめします。
たとえば、人間関係に不満があって転職する場合は、転職先の企業の口コミなどで人間関係をチェックします。待遇に不満があるなら、給与や休日などを確認しておく必要があります。
応募する企業を事前に調査しておくことで、転職に失敗するリスクを下げることが可能です。
方法④:ゴールまでの道筋を明確にする
自分の理想が具体的にイメージできないと、転職した意味を見いだせずに再び離職してしまう恐れがあるからです。転職活動中に焦ってしまって、内定をもらうことがゴールになってしまうと、転職後の理想と現実にギャップを感じて後悔しまいます。
目標が明確で必要なスキルや経験を具体化できると、転職したことに対するモチベーションを高め続けられるのでキャリアアップにもつながります。
つまり、目的を見失わないことも転職の失敗を防ぐためには重要なのです。
方法⑤:自身の市場価値を意識する
市場価値とは、世間一般で評価される価値のことです。
自分にしかないスキルがあるのであれば市場価値は高いですし、スキルがないのであれば市場価値は低くなってしまいます。
まずは、転職サイトなどの求人情報から自身の仕事の相場を確認しましょう。
「明らかに相場よりも低い」「意外と相場より高い」など、さまざまなケースが存在するはずです。相場より収入が多い場合、純粋に実力を評価されることもあれば、偶然いいポジションで収入が高い可能性もあります。
相場よりも収入が低く実力が評価されていないような場合には、転職によって上手くいく可能性もあるでしょう。
転職を成功させるには、自身の市場価値を意識することも重要です。
製造業への転職は転職エージェントを活用しよう
製造業への転職で失敗するリスクを最小限にするなら、転職エージェントの活用をおすすめします。転職エージェントを活用すべき理由は、以下のとおりです。
- 面接対応や書類添削などのサポートがある
- 業界に精通したキャリアアドバイザーが在籍している
- 非公開情報を含めて求人の数が豊富
ひと括りに転職エージェントといっても種類は多く、中には製造業に特化したサービスもあります。特化型エージェントは企業へ営業に行く担当者や業界の経験者も在籍しているので、製造業に精通しているだけでなく企業の情報なども多く保有しています。
業界に精通するキャリアアドバイザーからサポートを受けることができるうえ、非公開求人も豊富に揃えているので、ほかの方法と比べて転職の成功確率は高くなります。
転職エージェントによっては年収や転職事情も知りつくしているだけでなく、転職希望者に代わって企業と年収の交渉などを代行してもらうこともできるのです。
以上の理由により、製造業への転職は転職エージェントの活用をおすすめします。
まとめ
今回の記事では、製造業の転職先の選び方や選考ステップ毎の確認点、転職の失敗事例などもご紹介しました。
以下に、お伝えした内容をまとめました。
- 製造業への転職者は約22.3万人(2020年上半期)
- ほかの産業と比べて転職者は少ない
- 製造業の継続意向は高い傾向にある
- 不規則なシフト、残業や休日出勤などを求められることも多い
- 転職する際は必要性やゴールの設定を行うこと
- 製造業への転職は転職エージェントの活用をおすすめ
製造業の仕事は、個人で相性が分かれる業種です。
少しのミスが大きな損害につながるなどプレッシャーを感じることでストレスに感じることもあるでしょう。一方で、「業務内容の割には報酬がいい」「希望通りのシフトになる」「個人で業務を遂行できる」などのメリットもあります。
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