【製造業技術職向け】機械設計エンジニアから異業種への転職は可能です
「製造業の花形」と称される機械設計エンジニア。
しかし、未経験の仕事への興味や同業種の待遇への不満といった理由から、異業種への転職を希望することもあるでしょう。
機械設計者の採用ニーズは多いといわれていますが、些細なミスから転職のチャンスを逃してしまう恐れもあります。
そんな事態を防ぐため、今回の記事では機械設計エンジニアから異業種へ転職する際の手順や注意点などをご紹介します。
機械設計エンジニアからの異業種転職者は実際どれぐらいいるの?
機械設計エンジニアからの異業種転職者は、産業分類全体でおよそ11万人(2018年)です。
日本労働統計機構の「ユースフル労働統計2019」によると、機械設計エンジニアを含む「学術研究、専門・技術サービス業」の転職率は3.4%(2018年、就業者ベース)でした。
2007年~2018年までの推移は多少の変動が見られるものの、横ばい傾向が続いています。
※「ユースフル労働統計2019」を基に筆者が作成
2018年の転職者総数が329万人(引用:総務省 労働力調査2020年)であったことから、「学術研究、専門・技術サービス業」の転職者は11万人ほどであることがわかります。
ちなみに、ほかの産業分類と比較した「学術研究,専門・技術サービス業」の転職者の割合は「農業,林業」や「建設業」に次いで3番目に低い水準でした。
※「ユースフル労働統計2019」を基に筆者が作成
では、なぜ機械設計エンジニアの定着率が高いのか、その理由をご紹介します。
機械設計エンジニアの定着率が高い理由
機械設計エンジニアの定着率が高い理由です。
- 社会的な評価が高い
- 給与水準が安定している
- 休暇を取得しやすい
自動車や航空機、船舶にいたるまで、機械が動く仕組みを設計する機械エンジニアですが、「機械業界」は日本を支える重要な産業です。
世界でも高い存在感をもっているだけに、社会的な評価が高い業種の一つでもあります。中でも機械設計は、専門的知識を要するほか、上流工程から下流工程につなぐ重要な役割を担う職業です。
大学院卒の比率が高い業種であることから初任給は高めで、その後の収入も安定しています。ただし、市況の影響を受けやすい業界であることも大きな特徴です。
業務をグループ体制で進行するなど、製造ノウハウが確立されていることから属人化しにくいので、休暇制度を利用しやすい労働環境が確保されています。
以上の要因から、機械設計エンジニアの定着率は高いものと考えられます。
異業種でも活かせる機械設計経験者の強み
以下は、異業種でも活かせる機械設計経験者の強みです。
- 知識やスキルが専門的である
- 外国語を話せる
- 幅広い業種に対応できる
- コミュニーケーション能力が高い
- 新しい情報をもっている
下記から、順番に説明していきます。
機械設計者の強み①:知識やスキルが専門的である
機械設計者は、独自の知識やスキルがあります。
そもそも一人前と認められるには、入社から5年から10年を要します。
免許や資格の取得を求められることは少ないですが、品質表示法だけでなく電波法や電気用品安全法、有害物質規制法といった仕事に深く関係する制度や法律の知識は必須です。
新卒採用者であれば、構造力学、材料力学、熱力力学、流体力学の4大力学のほか、メカトロニクスや制御工学といった知識も求められます。
こうしたスキルや知識は機械設計者ならではのスキルや知識なので、異業種へ転職する際は強みとしてアピールすることができるでしょう。
製図ソフトやシミュレーション解析ツールも使える
機械設計には、製図ソフトやシミュレーション解析ツールが使われます。
コンピューター支援設計のCAD(Computer Aided Design)やコンピューター支援エンジニアリングのCAE(Computer Aided Engineering)などが代表的です。
また、近年ではユーザー目線を重視した製品を開発するために、「AI」や「IoT」などを用いた開発も行われるようになってきました。
シミュレーションにおいてはコストや安全性、環境への配慮なども重視され、総合的に勘案して実現していく必要があります。
最新の技術が使える点も、機械設計エンジニアの大きな魅力です。
機械設計者の強み②:外国語を話せる
外国語を話せる人材が多いことも、機械設計者の特徴です。
特にグローバル企業に在籍している機械設計者は、海外の技術者や顧客、取引先とやり取りをする必要があることから、高い語学力が求められます。
在籍している会社によっては会社の負担で英会話レッスンなどの語学研修の受講ができるので、入社時に語学力のなかった機械設計者でも語学力を高められることがあります。
海外へ行ってやり取りできる人材は貴重なので、やはり異業種へ転職するときのアピールポイントになることは間違いありません。
機械設計者の強み③:幅広い業種に対応できる
機械設計者は、幅広い業種に対応できます。
ひと括りに機械設計エンジニアといっても、さまざまな分野の設計があるからです。
自動車から産業用機器、医療用の機器、輸送機器、ゼネコン、宇宙開発、プラント、インフラといったように、機械設計の仕事には多くのニーズがあります。
過去に違う業種の機械設計を行ってきた人材であれば、他業種へ転職しても所有しているスキルや知識を活かすことができるでしょう。
多くの分野でスキルを活かせる点も、機械設計者の強みです。
機械設計者の強み④:コミュニケーション能力が高い
コミュニケーション能力に長けた人材が豊富であることも、機械設計者の特徴です。
設計者はオフィス内にこもって黙々と設計を続ける印象が強いですが、実はコミュニケーション能力が問われる職業でもあります。
営業マンとの商談や顧客との打ち合わせや技術説明のほか、場合によっては海外へ行って現地で技術者や顧客とやり取りする必要があるからです。
また、モノづくりにおいてはチームで設計することが多く、設計チームだけでなく他部門の人たちと連携しなければなりません。
情報の伝達が悪いと製品に影響を及ぼすことから、高いコミュニケーション能力が求められるのです。どんな業種であっても、コミュニケーション能力の高さは重宝されること間違いないでしょう。
コミュニケーション能力の高さも、機械設計エンジニアのアピールポイントです。
機械設計者の強み⑤:新しい情報をもっている
機械設計エンジニアは、情報収集能力にも長けています。
常に幅広い顧客のニーズに応えなければならない業種だけに、日進月歩の新技術に目を光らせておく必要があるからです。しかも、新しい技術を自分で上手く取り入れる必要があります。
そのためには、幅広い分野の技術にアンテナを張って新しい情報の収集に努めなければなりません。
新しい情報を持っていることは企業設計者の強みであり、その情報を自社で活かしてほしいという他業種の企業も多いはずです。
機械設計から異業種へ転職する手順や注意点を解説
ここでは、機械設計から異業種へ転職するための手順や注意点を解説します。
- 機械設計から異業種へ転職するための手順
- 機械設計から異業種へ転職する際の注意点
それぞれ、順番にみていきましょう。
機械設計から異業種へ転職するための手順
以下は、機械設計から異業種へ転職するための手順です。
- 転職活動の準備を行う
- 転職したい企業へ応募を行う
- 内定を取得したら、転職する
転職活動の準備というのは、自己分析や情報収集のほか履歴書や職務経歴書などの書類を作成することです。転職したい企業に書類を送り、書類選考を経て面接を行います。
内定を企業から取得できれば、入社を承諾して勤務中の会社に退社する旨を伝えます。必要に応じて業務の引継ぎを行い、新しい勤務先へ入社します。
機械設計から異業種へ転職する際の注意点
機械設計から異業種へ転職する際の注意点です。
- 求められるスキルと自分のスキルに違いがあることも
- 仕事を継続しながらの転職活動が難しい場合もある
- 社風が合わないこともある
上から順番に確認していきましょう。
注意点①:求められるスキルと自分のスキルに違いがあることも
ひと括りに機械設計といっても多様なので、相手が求めるスキルとは異なる可能性があります。
求人内容だけを確認しても業務内容の詳細までわからないことも多いので、自分のスキルが企業にとって必要なものとは違う場合もあるということです。
お互いに相違がある状態では採用されにくいうえ、採用されたとしても自身の強みが活かされないという悩みが生じてしまうかもしれません。
業務内容が把握できるように、面接やネット上などで事前にできるだけ情報を収集しましょう。
注意点②:仕事を継続しながらの転職活動が難しい場合もある
現職の仕事が忙しい場合、仕事と転職活動の両立は困難です。
機械設計には繁忙期があって複数の案件を同時に進行しなければならず、納期に間に合わせるために残業時間が増えたり休暇が取れなかったりする場合もあります。
そんなときに転職活動を行うのは困難で、面接や準備に割ける時間を確保できないでしょう。面接を受ける会社への理解度が低いと、悪い印象を与えてしまいかねません。
仕事を続けながら転職活動を行う場合は、繁忙期を避けたり有給休暇を取得して時間を作ったりする必要があります。
注意点③:社風が合わないこともある
自身のスキルに合った仕事であったとしても、企業の社風まではわからないことが多いです。
職場の雰囲気、上司や同僚との相性、独自の企業文化や組織文化などが合わないと、快適に仕事に取り組めるとは限りません。
厳格で社員同士のコミュニケーションが取りにくい、パワハラが当たり前、飲み会には半強制で参加など、入社しないとわからないことも多いのが現実です。
ほかにも、「残業代が払われない」「有給休暇を取得できない」といった場合や、評価の基準が他社とは明らかに違うような場合もあるでしょう。
こうしたケースでは、ストレスが重なったり生活が充実しなかったりすることもあります。
以上のような事態を防ぐため、事前に会社の口コミなどの情報を収集しておくと良いでしょう。
異業種への転職はエージェントを活用しよう
異業種への転職は、エージェントの活用がおすすめです。
転職エージェントとは、転職希望者のスキルや希望から採用したい企業とマッチングさせるサービスを指します。
おすすめする理由は、転職エージェントは企業の情報をたくさん持っているからです。
非公開の求人情報を多く保有しているので、ほかの求人よりも競争率が低い傾向にあります。
特化型のエージェントの場合は業界の裏事情に精通しているので、職場の雰囲気や残業時間、社風といったネットでも収集が難しい情報を得られることもあります。
また、困りごとや悩みごとを第三者へ相談できる点も大きなメリットです。
未経験者にとって不透明に見える異業種ですが、不安を取り除いたり成功率を高めたりしたいのであれば転職エージェントを上手く活用しましょう。
まとめ
今回の記事では、機械設計エンジニアから異業種へ転職する際の手順や注意点などをご紹介しました。以下に、ご紹介した内容をまとめました。
- 機械設計エンジニアからの異業種転職者は推定で約11万人
- 機械設計エンジニアの定着率は高い
- 異業種でも活かせるスキルや知識が多い
- 異業種への転職は事前の情報収集や準備が不可欠
- 転職活動は繁忙期を避けるなど、時間を作ることが大切
- 機械設計から異業種への転職はエージェントの活用がおすすめ
未経験の転職には転職エージェントがおすすめですが、ひと括りに転職エージェントといっても特化する内容が大きく異なります。
自身の目的に合ったエージェントを活用して、後悔しない転職活動を行いましょう。
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